特定活動
| 該当する方 | 法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動 例:外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等 |
| 在留期間 | 3ヶ月、6ヶ月、1年、3年、5年又は法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲) |
1、特定活動とは
日本の在留資格は、通常「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」のように、従事できる活動内容があらかじめ法律で定められています。しかし、社会情勢の変化や個別の事情により、既存の枠組みには当てはまらないものの、日本への在留を認めるべき活動が存在します。
これらに柔軟に対応するために設けられているのが在留資格「特定活動」です。
特定活動の最大の特徴は、法務大臣が外国人一人ひとりに対して、日本で行う活動を個別に指定する点にあります。このため、許可された場合にはパスポートに「指定書」という書面が貼付されます。
この指定書には、その外国人が日本で行うことができる具体的な活動内容が記されており、本人の活動範囲を決定する非常に重要な書類となります。
特定活動の中でも、法務省告示によってあらかじめ活動内容が定義されているものを「告示内特定活動」と呼びます。これらは現在、50種類以上の活動が定められており、社会情勢や国際的な要請に応じて随時追加されています。
また、告示には記載されていないものの、人道上の配慮や特別な事情により、法務大臣が個々の外国人について個別に指定する活動を「告示外特定活動」と呼びます。
告示外特定活動は「在留資格認定証明書交付申請」の対象にはならないため、短期滞在で入国した後、または他の在留資格ですでに在留している場合に「在留資格変更許可申請」を行います。
2、告示内特定活動の類型
告示内特定活動の主な類型として、以下の活動などがあります。
【就労・高度専門職の支援】
● 家事使用人(告示1号・2号等):外交官や高度専門職、経営・管理ビザを持つ外国人等が個人的に雇用するメイドや運転手などの活動
● 高度専門職の配偶者(告示33号・33号の2):高度専門職外国人の配偶者が、学歴や職歴等の一般要件を一部免除され、研究、教育など専門的・技術的な仕事にフルタイムで就労する活動
● 高度専門職の親(告示34号):世帯年収800万円以上の高度専門職外国人と同居し、7歳未満の子の養育や、本人・配偶者の妊娠中の介助を行う活動
● 特定研究・特定教育(36号・37号):法務大臣が指定する機関において、高度な専門知識を必要とする研究、指導、教育を行う活動
● 日本の大学卒業者(告示46号・47号):高い日本語能力を活かして通常の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)では認められない現場作業や接客などの幅広い業務に従事する活動、その配偶者または子が日本での日常的な生活を送るための活動
● スキー指導(告示50号):一定の資格を有し、日本のスキー場で指導に従事する活動
● デジタルノマド(告示53号・54号):年収1000万円以上等の要件を満たす外国人が、海外の企業等との雇用契約に基づき、日本でテレワーク等を行う活動(最長6ヶ月)、その配偶者または子が日本での日常的な生活を送るための活動
● 特定自動車運送業準備(告示55号):特定技能(自動車運送業)への変更を目指し、講習や教習を受ける等の準備活動
【 国際交流・教育】
● ワーキング・ホリデー(告示5号・5号の2):二国間の協定に基づき、休暇を目的として日本に滞在し、旅行資金を補うための付随的な就労を認める活動
● インターンシップ(告示9号):外国の大学生が、単位修得等の一環として日本の企業等で実習を行う活動(1年以内)
● サマージョブ(告示12号):外国の大学生が、夏休み等の授業が行われない期間を利用して、日本の企業等で業務に従事する活動(3ヶ月以内)
● 国際文化交流(告示15号):外国の大学生が、日本の地方公共団体が実施する事業に参加し、小・中・高校等で講義を行う活動
● 日系4世の日本文化修得活動(告示43号):日系4世が日本文化や日本国における一般的な生活様式を理解すること、および日本語を習得することを目的として、日本で行う活動
【経済連携協定(EPA)関連】
● EPA看護師・介護福祉士(告示16号~31号):インドネシア、フィリピン、ベトナムとの協定に基づき、日本の国家資格取得を目指して研修や業務に従事する活動
【スタートアップ・先端キャリア】
● 起業準備活動(告示44号・45号):経済産業省の認定計画に基づき、日本で起業するための準備(事務所確保等)を行う活動(最長2年)、その配偶者または子が日本での日常的な生活を送るための活動
● J-Find(未来創造人材・告示51号):世界ランキング上位の大学を卒業した優秀な若者が、日本で就職活動や起業準備を行う活動(最長2年)
【人道・医療・観光】
● 国際仲裁事件の手続き(告示8号):外国弁護士等が、国際仲裁・調停事件の手続きについて代理等を行う活動
● 医療滞在(告示25号・26号):日本の病院等に入院して治療を受ける活動、およびその付き添い人の活動
● 長期観光(告示40号・41号):預貯金3,000万円以上(配偶者も同様の特定活動をする場合は6,000万円以上)等の要件を満たす富裕層の外国人とその配偶者が、観光や保養のために滞在する活動(最長1年)
3、告示外特定活動の事例
告示外特定活動で、よく見られるケースは以下の通りです。
● 出国準備のための滞在:在留資格の変更や更新が不許可となったものの、直ちに帰国することが困難な場合に、身辺整理や帰国の準備を行うために一時的に認められる活動。在留期間は通常「31日」や「30日」などが指定されます。
● 日本人や外国人同士の同性パートナー:日本の法律(民法・戸籍法)では同性婚が認められていないため、「日本人の配偶者等」や「家族滞在」の資格は得られません。しかし、外国で有効に成立している同性婚の配偶者について、人道的観点から認められる場合があります。
外国人同士の同性カップルの場合、双方が本国で有効に婚姻している場合、本体者に在留資格があれば、その配偶者に「特定活動」が認められます。
日本人と外国人の同性カップルの場合、長らく対象外とされてきましたが、近年の裁判例を踏まえ、外国で有効に婚姻が成立しており、日本で安定した共同生活を営んでいる場合には「特定活動」が認められる方向に運用が変化しています。
● 難民認定申請中の滞在:難民認定申請または補完的保護対象者認定申請を行い、その審査結果を待っている間の活動。仮滞在の許可が出た場合、申請すると報酬を受ける活動(就労)が許可される場合もあります。
● 雇用先の都合による解雇等:企業の倒産や解雇など、本人の責によらない理由で離職した外国人が、復職や再就職までの間に行う就職活動やそれに伴う日常的な活動。資格外活動許可を取ることでアルバイトも可能です。
● 大学生の継続就職活動:日本の大学等を卒業した留学生が、卒業後も継続して「就職活動」を行うことを希望する場合で、在留状況に問題がなく、卒業した教育機関の推薦があるなどの要件を満たす必要があります。在留期間は6月で、更に1回の在留期間の更新が認めらます。
● 老親扶養:本国に身寄りがなく、高齢で自身の生活が困難な親を日本にいる子が扶養するといった人道的な配慮が必要な場合に、法務大臣が個別に判断して在留を認めるものです。親が高齢である、本国に他に扶養できる親族がいない、本人の扶養能力といった厳しい条件を個別に立証することで、例外的に許可される可能性があります。
4、申請のポイントと留意点
告示内特定活動の場合、告示ごとに要件が細かく定められています。
例えば告示43号(日系4世)であれば「18歳以上35歳以下」という年齢制限や日本語能力の証明が必要となり、告示46号(本邦大学卒業者)では、日本の大学・大学院を卒業していることと、高い日本語能力(N1相当など)が必須要件となります。
これらの申請しようとする特定活動の要件を正確に把握し、必要な立証書類を漏れなく準備することが大切です。
一方、告示外特定活動は、明確な基準がないため、なぜ他の在留資格ではなくこの活動が必要なのか、人道的な必要性や特別の事情を客観的な資料で立証しなければなりません。その分難易度も上がり、それぞれの個別の事情が非常に重視されるため、申請にあたっては詳細な理由書や立証資料の準備が必要となります。
さらに、特定活動は「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」であるため、「指定書」に記載された範囲外の活動を行うことはできません。仕事についても「指定書」に記載がない限り就けず、資格外活動許可を得ることができれば、パートやアルバイトなどで週28時間以内でのみ可能です。
また、就労が可能だとしても、勤務先や業務内容が「指定書」で個別に指定されるため、転職する際は、その都度「在留資格変更許可申請」が必要です。
そのため、就労を希望する場合は「技術・人文知識・国際業務」など他の在留資格の要件に該当するかや、それぞれの在留資格の特徴、メリットなども含めて比較検討します。
特定活動は非常に多岐にわたり、それぞれの活動ごとに必要な立証資料や要件が細かく定められています。ご自身の活動がどのケースに該当するのか、どのような立証書類の準備が必要かなど、それぞれのご事情に合わせて検討する必要があります。