<報酬支払の適正化>
特定業務委託事業者は、検査をするかどうかを問わず、発注した物品等を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で、報酬の支払期日を定めてそれまでに支払わなければばならない、とされています。
※期日を決めていない場合は、物品等を実際に受領した日
※物品等を受領した日から起算して60日を超えて定めた場合は、受領した日から起算して60日を超えた日の前日
<募集事項の適正表示>
特定委託事業者が不特定多数の人に対して広告等により募集を行う場合は、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければなりません。具体的には以下の内容について、正確な情報を提示する必要があります。
・業務の内容
・業務に従事する場所・期間・時間に関する事項
・報酬に関する事項
・契約の解除・不更新に関する事項
・特定受託事業者の募集を行う者に関する事項
実際は報酬額に幅があるにも関わらず、いかにもその額を支払うような金額を記載することも禁止されています。
<ハラスメント防止措置>
特定業務委託事業者は、ハラスメント行為により特定受託業務従事者の就業環境を害することのないよう相談対応のための体制整備その他の必要な措置を講じなければならなりません。
また、特定業務委託事業者は、特定受託業務従事者がハラスメントに関する相談を行ったこと等を理由として不利益な取扱いをすることは禁止されています。
<継続取引における禁止行為>
そして、1ヶ月以上継続して取引を行う場合、委託事業者はさらに以下の「継続取引における禁止行為」が適用されます。
1、返品
発注の取消や納品日の延期により報酬を支払わないなど特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく、給付の受領を拒むこと
2、報酬額の減額
特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく、業務委託時に定めた報酬額を減額すること
※振込手数料をあらかじめ引いて報酬を支払うことも禁止
3、返品
特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく、給付を受領した後、その給付に係るものを引き取らせること
4、買いたたき
特定受託事業者の給付の内容と同種または類似の内容の給付に対し、通常支払われるべ き対価に比べて著しく低い報酬の額を不当に定めること
※知的財産権が発生している場合の報酬額を一方的に決めることも禁止
5、購入・利用の強制
特定受託事業者の給付の内容を均質にし、またはその改善を図るために必要がある場合 その他正当な理由なく、自己の指定する物の購入、役務の利用を強要すること
6、不当な経済上の利益の提供要請
自己の為に、不当な金銭、役務その他経済上の利益を提供させること
※協賛金を払わせる、保険に加入させる、物品を購入させる、対価を支払わずに知的財産権の二次利用をするなど
7、不当な給付内容の変更及び不当なやり直し
特定受託事業者の攻めに帰すべき事由なく、給付の内容を変更させ、給付を受領した後 若しくは役務の提供を受けた後、給付をやり直させること
※やり直しに必要な費用を支払わないことも禁止
さらに、6ヶ月以上の継続した取引の場合、以下の事項が義務となります。
<育児介護との両立に配慮する義務>
こちらは受託事業者からの申し出により、育児介護等と業務を両立できるよう、必要な配慮をしなければなりません。6か月以下の短期の取引の場合は、努力義務となっています。また、申し出に対する対応を検討したうえで、配慮をやむを得ず実施できない場合は、受託事業者に対して説明する必要があります。この申し出をしたことにより契約解除等の不利益な取り扱いをすることはできません。
<中途解約等の事前予告・理由開示義務>
特定業務委託事業者は、災害などの一定の例外を除き、6か月以上の期間行う業務委託に係る契約を中途解除したり、更新しない場合には、特定受託事業者に対し少なくとも30日前までにその旨を予告をしなければなりません。
予告の日から契約満了までの間に、受託事業者が契約の中途解除や不更新の理由の開示を請求した場合には、開示不要とされている一定の場合を除き、特定業務委託事業者は、これを書面やメールなどにより開示しなければならず、口頭のみの説明は不可です。
特定委託事業者の対応に違反行為があった場合、受託事業者は、公正取引員会、中小企業庁、厚生労働省に対し、その旨を申し出ることができます。申し出は関係省庁のHPからオンラインでもでき、内容に応じて事実確認の上、委託事業者に対して必要な指導や勧告が行われ、それらの命令違反には50万以下の罰金が科されます。
また、申し出をした受託事業者に対して不利益な取り扱いをすることは禁止されています。
公正取引委員会フリーランス法特設サイトhttps://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/